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放射能健診100万人署名運動

国と東京電力が、希望する全ての人に放射能健診を行うよう求める運動です。署名を全国で100万筆集めて、国に提出します。
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・3/27(月)11:00~12:00 

・参議院議員会館B109(10:40に参議院議員会館ロビーに集まってください)」

小山 070-5653-7886

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昨年 11 月 7 日に環境省と放射能健診に関わる交渉と署名5077筆を提出しました。(ずいぶん遅れての報告で申し訳ありません。)今回も福島みずほ議員の事務所にご尽力いただきました。

今回の交渉のテーマ・要求は、

①原発事故後に乳児死亡率と周産期死亡率が増加した事実への見解を示すこと。

②福島県民健康調査検討委員会・甲状腺部会の清水一雄部会長が辞意を表明し、「放射線の影響ではないかという懸念も考慮に入れながら検証」すべき旨を述べたことも踏まえ、甲状腺がんの多発が「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」とする環境省専門家会議「中間とりまとめ」の結論を見直すこと。

③被爆者援護法にならい、希望するすべての人への健康診断を実施すること、でした。
 
【交渉の要約】

環境省は、放射線健康管理担当参事官室から参事官補佐と専門官が出席。

①死産・周産期死亡率の上昇を事実として認めるか?

(署名実行委員会)世界的な疫学専門誌に掲載された論文で、統計的に周産期死亡率や死産率の上昇が確認された。これについて見解を求める。

(環境省)個々の論文を評価する立場にはない。その論文も含めて調べている。WHO、UNSCEAR と福島県の検討委員会は『影響なし』とする。

(署)福島県の検討委員会の「妊産婦調査」には欠陥がある。死亡率の急上昇は一斉に2013年12月と翌年1月の間に起こったが、検討委員会の報告は1年単位で結果を比べるので、ひと月毎の変動を読み取れない。しかも平成23年以降だけを見て正しい評価が出せるはずがない。


(環)データについて環境省は言う立場にない。1つ1つの論文に対して見解は出していない。

(署)死産率が増えた。生まれるべき子どもが死んでいる。環境省はどのように見ているのか?見解を聞かせてほしい。人道問題だ。

(環)個人として小児科医として週一回、福島へ行っている。超音波検査を見ている。感想は難しい。この論文への批判を書いている論文もある。モデルの推計、数字に関しては述べられない。

(署)死亡率が上昇していることはあきらか。認めないのか?

(環)1つ1つの論文に対し見解は出していない。議論は大切である。WHO,UNSCEARがたくさんの論文を検証しているのは参考にしている。環境省の委託研究として福島と近隣県でのがん、循環器疾患、先天性の異常などの動向の把握は行っている。平成29年度には結果が出る。

(署)まだ2年も結論が出ないのか?!福島の街頭で署名などしていたら「子どもが心配」と多くの人が署名をしてくれる。結果が出るまで2年間も何もしないのは後手すぎる。

(環)ゆっくり進めているのではない。迅速に確実にしている。数年ではわからない。誤った考えだと風評被害につながる。

(署)今でも健康被害が出ているのに、そんなに待っている間は何もしないのか。福島県からもらったデータを分析しないのか? 周産期、死産は調査内容に入っているのか?

(環)入っている。

(署)周産期以外の死産は調査するか?

(環)調査対象に入れていない。

(署)事実として人が死んでいる。調査ばかりでなく具体的な動きを作ってほしい。あと2年も調査だけで何もしないのは人道的に問題。

(環)われわれも進捗状況を見ている。短期間で判断は難しい。29年度のあとに報告が出る。

(署)納得できない。
 
②甲状腺がん多発に関わる環境省の『中間とりまとめ』の見解の見直しについて。

(環)専門家会議の『中間とりまとめ』は、1巡目検査が終わって『多発』とは言っていない。2巡目は進行中で、その結果を待っている。

(署)世論は、やっぱり被害が出ていたと思っている。福島県の部会長も、辞任して言いたいこと を言う、と新聞に載っている。

(環)福島県に確認したら、清水氏は検討委員の辞表は出していない。放射能の影響も考慮してやっている。福島県には技術、経済的に支援をしている。環境省と福島県は別。先行検査と2巡目は違う。あくまでも2巡目をしっかり考慮すべきと認識。チェル ノブイリよりも被ばくは低い。スクリーニング効果もある。

(署)環境省は2巡目が終わって来年どうするのか?考えているのか?

(環)まだ考えていない

(署)一巡目の際には『中間とりまとめ』は先行検査と同時に行った。もっと事態を深刻に考えて、 もっと早く動けないのか。

(環)先行検査の見直しはしない。2巡目の結果が出てから評価する。

(署)それなら2巡目の結果を基に環境省専門家会議を再開して、『中間とりまとめ』の見直しをする予定はあるのか?そのための予算はつくのか?

(環)今の段階では決まっていない。

(署)再検討のやり方が決まっていないのか?それとも2巡目の結果の検討会の予定がないのか?

(環)今のところ検討会を開催する予定はない。

(署)行政が『原発事故の影響とは考えにくい』と言うから、甲状腺がんの対策が進まない。評価見直しをするべきだ。2巡目検査でがん患者が増えているのは、明らかにおかしいのだから。しかも福島県では甲状腺検査を縮小しようとする動きがある。

(署)がん患者が174人も出ている。早く何とかしろ!と声が上がっている。

(環)早急に進めてほしいというのはわかる。しかし科学的根拠をもってやっていかないと。
 
③被爆者援護法のような健康診断制度の実施について。

(署)原爆被爆者への健康診断(年2回)と医療補償の費用は年にどれくらいか知っているか?

(環)わからない。近隣県の専門家会議で『健康診断は不要』との結論が出ている。対策として、 疾病動向調査を委託研究中。

(署)近隣県の専門家会議は全てが、甲状腺がんが表面化する前の2011年度に終わり、検討内容も実にお粗末。千葉県は検討会を行なわなかった。群馬県は1回だけ1時間集まってすぐに結論を出したが、甲状腺がんの検査結果も出ていない段階でまともな検討ができるはずがない。

(環)確かにこの1,2年の検討結果ではない。

(署)原爆被爆者援護法では17万人に年2回無料診断。年間30億円、オスプレイ1機やめたら 7年分ですよ。リスクコミュニケーションも心だけでなく、体のケアをしてください。

(署)茨城県下では甲状腺検査やホールボディカウンター検査を行う市町村が増えている。自治体はやっている。その補助を出さないのか?周産期死亡が増えて影響は出てきている。がん以外も考える立場に立たないか?

(署)3年もかかっての結論は遅すぎる。千葉、茨城など改めて調査したらどうだ?予算をつけてできるのでは?

~【ここで時間切れ、交渉終了】 
 
【まとめ】 私たちは、福島県検討委員会の乳児死亡や周産期死亡率の評価方法の間違いを説明し、また近隣県での健康診断を拒否する環境省の言い分が崩れていることを指摘しました。

一方、環境省は乳児死亡の増加の事実を否定できず、具体的な事実確認から逃げ回りました。甲状腺がん多発事態について“福島県の2巡目検査後にも環境省専門家会議「中間とりまとめ」 の見直しをする予定はない、”と開き直り、彼らの委託調査結果が出る2018年3月まで何の対策もしないと強調しました。これでは早くても対策の予算化~実行は2019年4月以降になります。

今回は厚労省が出席しませんでした。厚労省に責任を求める交渉が必要です。次回は厚労働省の出席を求めて交渉に臨みます。 
 
★ 次回の請願交渉は、今年3月27日(月)を予定しています。詳細が決まり次第、ご案内します。

6月6日、放射能健診を要求する今年初めての署名提出と交渉を参議院会館で、環境省と厚労省を相手に行いました。署名15950筆を提出し、合計で152097筆になりました。署名を送っていただいた皆さん、ありがとうございました。

今回の請願交渉は、初めて厚労省が出席したことに大きな意味があります。福島みずほ参議院議員の事務所に尽力頂いたことと、今回は福島と近隣県の「死産・流産」「乳児死亡」「周産期死亡」のリスクが上昇したことを、ドイツや日本の医師らが厚生労働省のデータを基に分析した資料を示して、甲状腺がん以外の健康被害の事実を問うたことが力になったと思います。

★請願の中で、環境省は、甲状腺がんの問題も出産・乳児のリスクにも自らの判断で回答できず、そのリスク調査の要求には「上に伝える」しか言えませんでした。環境省には放射能の健康対策をする意欲も責任感もないと感じさせる交渉でした。

★環境省は、福島近隣県の病気の調査を「大阪大学の祖父江教授に請け負わせた」旨を答えました。彼は環境省「健康管理の在り方に関する専門家会議」で福島県甲状腺検査の意義を否定する先頭に立った人物。環境省HPを見ると、この調査の目的は、「リスクコミュニケーション」。放射能の健康被害の事実を認める姿勢とは思えません。

★厚労省からは専門官(医師)が出てきて、福島県立医大にはドイツの疫学者らの分析とは違うデータがあり、死産・流産と乳児のリスクは増加していない旨を主張しました。しかし私たちが示したデータの基は厚労省の人口動態調査です。厚労省の専門官もこの分析を放置できず、「関心を持って見ている」と口走りました。健康問題は厚労省が関与せざるを得ない分野です。また原爆被爆者の医療対策を執行するのも厚労省です。ここに新たな交渉窓口が開かれたことは大きな前進です。

交渉の要約は以下の通りです。

【環境省:放射線健康管理参事官室・課長補佐と係員】

1.甲状腺検査、国際環境疫学会ISEEの書簡について

(環境省) 津田教授の論文がISEEの書簡の根拠になっていることは承知している。個別論文に対してのコメントはしない。福島県民健康調査の「中間とりまとめ」は、甲状腺がんの発生は原発事故由来とは考えにくい、としている。

(署名実行委員会) 環境省や福島県民健康調査の検討委員会に、疫学の専門家はいるのか?私が見た限り、福島県民健康調査検討委員会の津金氏くらいだ。彼は福島の甲状腺がんは「多発だ」と言っている。

(環)「発見」と「発生」は違う。津金氏は全国の発生率と比較して数十倍の多発と言っている。それは否定しないが、異常多発とは言っていないはず。

(署) 環境省は「子ども全員を調査して多く発見した」と言いたいのだろうが、2巡目の「本格検査」でも全国の十数倍の多発だ。これは「先行検査」の後の2~3年で新たに発生した症例数、それが十数倍。

(環)「本格調査」のデータ評価は進行中なので、今コメントできない。

(署) 環境省の専門家会議や放射線健康管理参事官室に、疫学の専門家はいるのか?

(環) 環境省の専門家会議の中の疫学の専門家は、把握していない。当室に疫学の専門家として配属された職員はいない。

2.福島と近隣県の死産や乳児死亡について

(環) UNSCEARは、胎児への放射線の影響は考えられないとしている。県民健康調査の妊産婦の調査で、先天異常の発生は全国と比べて少ない。増えていない。

(署) ここにあるドイツの疫学者シュアブ氏の、死産や乳児死亡のデータは知っているか?

(環)私はこのデータは知らなかった。放射線の影響は判らない。UNSCEAR出生前のリスク上昇は「予測できない」としている。今、環境省事業として、全国がん登録データの調査も含めて、疾病罹患率動向調査を行う。その中で周産期死亡の調査はする。

(署) 先天異常は増えていない、との県民健康調査の評価だが、そこに死産・流産の調査は含まれるか? 

(環) 今は、判らない。(注:福島県民健康調査の『妊産婦調査』に、「流産・中絶」という項目があります。)

(署) 環境省は「死産・流産」、「乳児死亡」のリスクを調査するのか? あなた方はこのデータを見てどう思うか?

(環) その2つは調査対象に入っていない。この件については、上に伝える。

(署) いつ、どの場で検討され、結論が出るのか? またはどういう提案方法が可能か?パブリックコメントなどは求めるのか?

(環) 具体的な時期は言えない。疾病罹患動向調査はすでに始まっていて、見直しのタイミングは判らない。具体的な提案プロセスも判らない。

(署) 環境省は死産や乳児死亡について、どう思うか? 「原発が原因ではない」としか言わないが、原因不明と言っておけば何もしないで済むと思っているのか? 冷たいではないか?

3.環境省の近隣県健康調査について

(署) 「疾病罹患動向調査」は誰がするのか?いつ報告が出るのか?

(環) 年度内にまとめる予定。内容はがん、循環器疾病、周産期異常の情報など。やるのは環境省事業の公募に応募した研究者。統計を用いた大災害における研究。

(署) 代表者は誰ですか? 採用の基準は何ですか?

(環) 大阪大学の祖父江教授。選考基準は環境省のwebに掲載。

【厚生労働省:母子保健課専門官、健康局総務課課長補佐(原爆被爆者担当)ら】

1.死産・流産、乳児死亡について

(厚生労働省) 初めて見る資料で関心を持って見ているが、原発事故後に心配されていることは承知。流産率はなかなかつかめない。先天異常に追加して福島県医大で、中絶や自然流産が増えていないか全数調査をしている。その中では「急増した」という事実は見えない。(「平成26年度モニタリング解析」)

(署) 厚労省の人口動態調査とは別のデータがあると言うことだな。今日示したシュアブ氏やコルブレイン氏の分析については、どう思うか? いずれも厚労省の公式データだ。

(厚) 関心を持って見た。死産・流産のデータ分析は、流産のデータが掴みにくい。シュアブ氏のデータでは流産の動向はわからない。乳児死亡の分析では「(リスクの)急上昇」とは言えない。福島では1000人当たり1~3人の範囲にあり誤差の範囲。引き続きモニタリングしていく。

2.原爆被爆者援護対策の援用

(厚) 原爆被爆者対策は他の戦争被害とは異なる被害であり、国の責任において援護する。原発被災者の対策は環境省の担当。被曝手帳は18.4万人に交付。うち8800人が原爆症認定者として医療給付の対象。

(署) 厚労省のHPでは医療給付の条件の1つに、爆心地から3.2キロとか3.5キロという被曝地点の距離があり、これはほぼ1mSvの被曝量に相当する。「年間1mSv」ではない。さらに広範な被爆者に健康手帳を交付し、年2回の健康診断を無料で行っている。こんな健康対策が被曝量1mSv以下の人にもとられてきた。福島原発被害者の対策とは格段の差だ。
被曝後50年近く経って1mSvの被曝地域外の被爆者にも病気が出てきて、裁判で放射線起因と認定される事例が多発。環境省に何かアドバイスはないか? 

(厚) 誤解がないように説明するが・・・・(原爆症認定制度と裁判の説明をした)。

(署) それは判ったが、同じ政府内で対策がまるで違う。環境省にアドバイスはないか? 
 
ここで時間切れ。

厚労省が自らのデータの意義を薄めるために福島県立医大のデータ(県民健康調査)を持ち出したことは驚きです。そこで改めて県民健康調査「妊産婦調査」の部分を見ると、調査結果は年度毎にまとめられており、月毎の人口動態調査よりも大雑把です。これなら微妙な統計上の変動を検出せずに済みます。あるいは厚労省は福島県立医大のより詳しいデータを持っているのでしょうか? 次の交渉のテーマです。(以上)

暑い5月22日の午後でしたが、福島駅前で放射能健診署名と併せて、初めて「放射能健康アンケート」を呼びかけました。署名は93筆、アンケートには21人の方が応じました。

 健康アンケートは昨年来のテーマでした。全国交歓会【2015東京大会】の分科会で福島や関東のホットスポットの健康被害の実態を交流し、「市民の力で健康調査を取り組もう」と決めました。

 今年3月に千葉県松戸市で健康調査アンケートが取り組まれました。それを見て「福島でもきっとアンケートで対話ができる」と自信と少し不安を持って臨んだ取り組みでしたが、とても県民との対話が進みました。

【健康不安と要求を改めて実感】

 署名はいつものようにたくさんの人が応じてくれました。その人達に署名をもらいながらアンケートも出して、健康に不安はありませんか?と問うと、「心配してない」「特に異変はない」と言う人も多いですが、いろいろな健康被害と不安に話が広がりました。私は1組4人の家族みんなにアンケートを書いてもらい、「最近よく下痢になる」「10代の子が事故後に医者にかかる回数が増えた」等の回答が書かれていました。

 



【「ガマ人間あらわる」福島公演(10月)】

 この日は併せて、月桃の花歌舞団のミュージカル『ガマ人間あらわる』の福島公演(10月8日に福島市音楽堂)の宣伝が目的でした。沖縄と福島。国に基地と放射能を押しつけられた民衆の心を代弁するミュージカルです。このミュージカルで福島の人々と一緒に「放射能はイヤだ、健康を守れ」と声を上げたいです。アンケート記入中の対話では、『ガマ人間』公演に関心を持って連絡先を教えてくれた人にも数人出会いました。福島県民の放射能の健康不安と要求の大きさを改めて感じました。

【アンケートは今までに92枚。目標は1000枚】

 5月から7月まで4回の福島駅前署名で、署名が270筆、健康アンケートが92枚寄せられました。だんだんアンケートの集まりが良くなって来ました。目標は1000枚です。                                   
 10月8日の公演本番まで引き続き福島を訪問し、健康アンケートも取り組みます。

 8/14(日) 「ガマ人間」プレ公演(アオウゼ)
 9/ 3(土)  福島駅前署名&アンケート&「ガマ人間」公演宣伝
 10/8(日) 「ガマ人間」公演(福島市音楽堂)

放射能健診100万人署名運動ニュースNo.22より、交渉の報告です。

 この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。

 また7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策を求める段階に移ります。

【環境省は、甲状腺がん手術104例の評価を答えられず】
 7月31日、福島議員事務所のご尽力で環境省に請願&署名提出を行いました。環境省の対応者は新しく天野参事官補佐に替わりました。
     731環境省交渉1

 この日の請願の第1は、『甲状腺がんの手術事例が104人にのぼったが、環境省の見解は? また甲状腺がん手術事例について、環境省あるいはその専門家会議の中でこれら手術事例について議論をしたのか?』です。

(環)専門家会議の「中間とりまとめ」は疫学文献を踏まえ、成人にエコー検査をすると罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかり、福島の状況を原発事故由来と積極的に示唆する根拠はない、との見解。さらにUNSCEAREが『結節などの高い発見率は、検査が集中的で機械が高感度が原因で、事故による物ではない。地域がん登録との比較でも、機器の性能や検査技術の向上で発見率が上がっているため、と。

(署名実行委)訊いたのは、専門家会議で細胞診にとどまらない手術例(当時58例)の評価の議論があったのか?子どもの手術したがんの割合が全国比で多いのか多くないのか? この点は3月の請願時にも回答がなかった。福島県甲状腺評価部会では浸潤/転移が9割。中間とりまとめにも記述がない。

(環)専門家会議で直接議論していないが、中間とりまとめでは『一般に若年の乳頭がんは転移は多いが生命予後は良い』と。

(署)手術104例を多発と見るのか、放っておいて良いがんと見るのか、対策を採るべきなのか?結論を聞きたい。中間とりまとめでは『放っておいて良い』と読めるが、それで良いのか?

(環)第9回専門家会議で、甲状腺がんが発見されても少し様子を見た方が良い、進展が早くない、浸潤・転移があっても生命に影響が少ない、手術の合併症の方が怖い、となった。

(署)『多発』と認めるのか?

(環)成人に対する検診では罹患率の10~50倍のがんが発見される。環境省「中間とりまとめ」と福島県の検討委員会(甲状腺評価部会)「中間とりまとめ」に大きな違いはない。

(署)問題は、環境省「とりまとめ」には成人のがんや一般論で『予後が良い』とは書いてあるが、手術例104についての評価がない。環境省は『福島県立医大は放っておいても良い物まで手術してしまった』という意味で言っているのか?

(環)環境省は疫学文献を踏まえて、環境省と福島県の見解に大きな違いはない。

(署)肝腎な部分の回答を回避している。訊きたいのは、やるべきでない手術だと言いたいのか?やって良かった手術なのか? 質問の意味を判ってもらえたか?

(環)質問は理解した。

(環)甲状腺がん手術は細胞検査を踏まえて、先生方の判断でがんを取るか取らないか判断して、その結果が104例。その結果を見て手術が適切か適切でなかったか判断されて、私が見た資料では『ほとんどがやるべきであった』と。

(署)今とても・・・・。環境省が『手術は不適切でない』と言ったのは初めてだ。

(環)「過剰診断」と術後の診断とは別問題。A2・Bの判断が多いのはスクリーニング検査のせいということと、手術が適切か否かとは別問題。

(署)それは私もそう思う。問題は、手術が104まで増えたことの評価。スクリーニングの診断の結果やった手術が過剰だという話と、そうでなく進行していたがんで適切な手術だという意見があるが、手術自身は間違っていないということで良いのか?

(環)第9回専門家会議で、基本的には経過観察、今回の術後の結果を見ると『妥当である』との部分を引用。

(署)103例の手術を内容において適切と認めるなら、手術するべきレベルの症例となる。危惧される事態。環境省がその認識なら、ぜひ踏み込んだ対策をお願いする。福島県が19歳以上の甲状腺医療費を負担するが、国が前に出て支援、大人にも甲状腺検査を。

(環)少し訂正します。先に紹介した資料は福島県の物で、環境省の物ではない。環境省がまとめたのは第9回の専門家会議の議事録。

(署)もう一度訊く、環境省は104の手術事例を異常多発と思っているか?それとも、やらなくて良い手術まで福島医大がやってしまったと思っているか?

(環)環境省は福島県の検討委員会と大きく異なる見解ではない。

(署)その上で手術事例の評価を訊いているのだが、今日は答えをもらえないか?

(環)福島県の基準に従って判断されて、2次検査後の判断は各先生に任されていると認識。

(署)手術は適切か不適切かは判らない、と言うことか?

(環)環境省の評価は、原発事故由来だと積極的に示す根拠は現時点ではない。一般的に超音波検診を行うと罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかる。

(署)肝心なところを外すなよ。さっき手術は適切だと言ったじゃないか。取り消すのか?

(環)1巡目の先行検査と他3県で同様の検査を比較して、その結果はそれほど変わらない。これとの対比で2巡目、3巡目の検査で有意に増えるか否か、これからの問題。

(署)それは違う。それなら30万人中に手術事例100が出てくる。これが福島の事故前の姿だと言うことになる。それ自体が大変なこと。こんなに甲状腺がんが多い。3県の調査で手術例が出るのか?5000人しか検査してなくて、30万人と比較できるのか?
 もっと福島県に向きあえ。京都の避難者の健康相談でも早期避難者に健康被害が進んでいる。今県内に残る人はもっと被ばくが大きい。

(環)この場で断定することは難しい、今回は控えさせて頂く。科学的知見、コンセンサスに基づいて進めることが重要と考える。

(署)これは次回の宿題とする。

【福島県外の甲状腺検診を要求】
 2つ目の要求は「福島県外の甲状腺検診」です。茨城県・千葉県で独自の甲状腺検査をする市町村の検診データを示して、国の検診を要求しました。松戸市議・増田さんも出席。

(署)一番大規模に甲状腺検診を行っている東海村は、3800人以上の子どもを検診。どうやっているのか電話で聞いた。検診は経験のあるエコー技師が行い、医師が診断。国からの支援は何もない、と。小さな村がこれだけ努力している。何で環境省は放置するのか。

(環)(「中間とりまとめ」をもとに、過剰診断の恐れとか不要な治療を受ける恐れとか、近隣県の有識者会議が『特別な検査は不要』と結論を出したとか理由をつけて、)環境省としては、たとえ希望者のみに対してであっても、福島県外での実施には慎重であるべき。

(署)福島県よりも汚染がきついところが関東に、面的に広がる。文科省の航空モニタリングでも判る。松戸などは会津より高い。

(松戸市・増田議員)環境省はどのように責任を感じているのか?ぜひ答えをほしい。専門家会議でも近隣県のことは議論されなかった。最近出た厚労省の「H26年度分担研究報告書」で、「現時点で・・・・・・因果関係を明確に否定することも難しい。」「福島県と近隣県では、がん登録と被ばく手帳を組み合わせフォローアップする必要がある」という意見を取り入れてほしい。

(署)松戸市でも百数十人の中で1,2人と「要精密検査者」が見つかった。また千葉県には有識者会議はない。中間とりまとめは千葉県には形式的にも当てはまらない。

(環)近隣県では、福島の県民健康調査の結果を見て、その上で心配な人にはリスクコミュニケーション、個別相談を充実させる。

(署)それだけか?松戸市から何度も甲状腺検査の要求があるだろう。

(増田市議)被ばくさせた責任が感じられない。虚しい。被ばくさせた側が責任持ってやるべき。松戸市も健康推進課が苦労して甲状腺検診を整えているが、医師も理解が行き届かないので、国が見てほしいと現場から声が上がっている。チェルノブイリとは人口密度が全然違う。相当の被害が出てもおかしくない。初期被ば
く内部被ばくを受けている。誰の責任か?

(環)個人的には私も全くその通りと思う。それをどういう風にやっていくか、それは国全体の責任。復興と併せて進める。個人的にはそう思う。

(署)それで、環境省としては?

(環)国は統一的基礎資料を作っている。環境モニタリング、除染、食品など全ての情報がある。これで正しい情報を広げる。

(署)米エネルギー省が2011年4月に浜通り、中通りの航空モニタリングをやってヨウ素を検出した。そのデータはご存じか?

(環)はい。

(署)ヨウ素131はセシウムと挙動が違う。ヨウ素131は南の方に直線的に大きな汚染を残した。これは確認できるか?

(環)ええ。

(署)残念ながらいわき市までのデータしかないが、いわきまで非常に高濃度のヨウ素が検出された。だから茨城、千葉に流れたことははっきりしている。米国の調査結果でも関東圏に大量のヨウ素が降り注いだことは明らか。他の調査でも広範囲にヨウ素を検出、甲状腺がんに強いインパクトを与えたことは間違いない。この結果を無視するのか?

(環)統一的基礎資料にヨウ素の濃度が出ている。その中で全体でどうなっているのか考えて頂ければ・・・・。

(署)だから関東圏を含めて甲状腺検査をするべきだ、と言っている。今あるデータだけでも関東にすごい影響が出ている。

(環)南の方、茨城、栃木へ流れたと言うが、それは程度問題。福島の方に幅広くあるからそこを調査している。

(署)程度問題と言うが、どのくらいヨウ素が降ったか測ったのか?データあるなら出しなさい。

(環)確か載っていたので、ヨウ素の資料がどこにあるか、後ほど確認して小山さんに伝える。

(署)明らかに公表資料でも、北関東に高濃度のヨウ素が確認されている。だからいろんな自治体が努力している。なぜ目をつぶる?

(環)JAEA東海村や筑波でヨウ素を検出した結果を基に評価している。また中間とりまとめでは、甲状腺検査のメリット、デメリットを考えながら進めている。

(署)環境省が本気でそう思うなら、東海村がやっているスクリーニング検査は危ないと言うことか? ところが天野さんの前任者は、『勝手にやってください。』『自治体の検査は専門家がやるのでないから検討材料に加えない』と言った。本気で心配するなら、もっと関われよ。

【署名は136147筆(今回4796筆提出)】
 ここで時間切れ。3点目の要求は説明のみ。福島訪問で聴いた健康被害が、どこでも驚くほど共通であること(心臓病による突然死、目の病気・飛蚊症、関節痛)など指摘。最後に署名を4796筆提出しました。
    環境省に署名提出

 この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。一方で7月、福島県が不十分ながら甲状腺治療費を補償する制度をつくり、世論が県を動かし始めました。

 また、7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策を求める段階に移ります。引き続き放射能健診署名にご協力ください。

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