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7/31 放射能健診を求め、環境省と交渉しました
この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。
また7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策を求める段階に移ります。
【環境省は、甲状腺がん手術104例の評価を答えられず】
7月31日、福島議員事務所のご尽力で環境省に請願&署名提出を行いました。環境省の対応者は新しく天野参事官補佐に替わりました。
この日の請願の第1は、『甲状腺がんの手術事例が104人にのぼったが、環境省の見解は? また甲状腺がん手術事例について、環境省あるいはその専門家会議の中でこれら手術事例について議論をしたのか?』です。
(環)専門家会議の「中間とりまとめ」は疫学文献を踏まえ、成人にエコー検査をすると罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかり、福島の状況を原発事故由来と積極的に示唆する根拠はない、との見解。さらにUNSCEAREが『結節などの高い発見率は、検査が集中的で機械が高感度が原因で、事故による物ではない。地域がん登録との比較でも、機器の性能や検査技術の向上で発見率が上がっているため、と。
(署名実行委)訊いたのは、専門家会議で細胞診にとどまらない手術例(当時58例)の評価の議論があったのか?子どもの手術したがんの割合が全国比で多いのか多くないのか? この点は3月の請願時にも回答がなかった。福島県甲状腺評価部会では浸潤/転移が9割。中間とりまとめにも記述がない。
(環)専門家会議で直接議論していないが、中間とりまとめでは『一般に若年の乳頭がんは転移は多いが生命予後は良い』と。
(署)手術104例を多発と見るのか、放っておいて良いがんと見るのか、対策を採るべきなのか?結論を聞きたい。中間とりまとめでは『放っておいて良い』と読めるが、それで良いのか?
(環)第9回専門家会議で、甲状腺がんが発見されても少し様子を見た方が良い、進展が早くない、浸潤・転移があっても生命に影響が少ない、手術の合併症の方が怖い、となった。
(署)『多発』と認めるのか?
(環)成人に対する検診では罹患率の10~50倍のがんが発見される。環境省「中間とりまとめ」と福島県の検討委員会(甲状腺評価部会)「中間とりまとめ」に大きな違いはない。
(署)問題は、環境省「とりまとめ」には成人のがんや一般論で『予後が良い』とは書いてあるが、手術例104についての評価がない。環境省は『福島県立医大は放っておいても良い物まで手術してしまった』という意味で言っているのか?
(環)環境省は疫学文献を踏まえて、環境省と福島県の見解に大きな違いはない。
(署)肝腎な部分の回答を回避している。訊きたいのは、やるべきでない手術だと言いたいのか?やって良かった手術なのか? 質問の意味を判ってもらえたか?
(環)質問は理解した。
(環)甲状腺がん手術は細胞検査を踏まえて、先生方の判断でがんを取るか取らないか判断して、その結果が104例。その結果を見て手術が適切か適切でなかったか判断されて、私が見た資料では『ほとんどがやるべきであった』と。
(署)今とても・・・・。環境省が『手術は不適切でない』と言ったのは初めてだ。
(環)「過剰診断」と術後の診断とは別問題。A2・Bの判断が多いのはスクリーニング検査のせいということと、手術が適切か否かとは別問題。
(署)それは私もそう思う。問題は、手術が104まで増えたことの評価。スクリーニングの診断の結果やった手術が過剰だという話と、そうでなく進行していたがんで適切な手術だという意見があるが、手術自身は間違っていないということで良いのか?
(環)第9回専門家会議で、基本的には経過観察、今回の術後の結果を見ると『妥当である』との部分を引用。
(署)103例の手術を内容において適切と認めるなら、手術するべきレベルの症例となる。危惧される事態。環境省がその認識なら、ぜひ踏み込んだ対策をお願いする。福島県が19歳以上の甲状腺医療費を負担するが、国が前に出て支援、大人にも甲状腺検査を。
(環)少し訂正します。先に紹介した資料は福島県の物で、環境省の物ではない。環境省がまとめたのは第9回の専門家会議の議事録。
(署)もう一度訊く、環境省は104の手術事例を異常多発と思っているか?それとも、やらなくて良い手術まで福島医大がやってしまったと思っているか?
(環)環境省は福島県の検討委員会と大きく異なる見解ではない。
(署)その上で手術事例の評価を訊いているのだが、今日は答えをもらえないか?
(環)福島県の基準に従って判断されて、2次検査後の判断は各先生に任されていると認識。
(署)手術は適切か不適切かは判らない、と言うことか?
(環)環境省の評価は、原発事故由来だと積極的に示す根拠は現時点ではない。一般的に超音波検診を行うと罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかる。
(署)肝心なところを外すなよ。さっき手術は適切だと言ったじゃないか。取り消すのか?
(環)1巡目の先行検査と他3県で同様の検査を比較して、その結果はそれほど変わらない。これとの対比で2巡目、3巡目の検査で有意に増えるか否か、これからの問題。
(署)それは違う。それなら30万人中に手術事例100が出てくる。これが福島の事故前の姿だと言うことになる。それ自体が大変なこと。こんなに甲状腺がんが多い。3県の調査で手術例が出るのか?5000人しか検査してなくて、30万人と比較できるのか?
もっと福島県に向きあえ。京都の避難者の健康相談でも早期避難者に健康被害が進んでいる。今県内に残る人はもっと被ばくが大きい。
(環)この場で断定することは難しい、今回は控えさせて頂く。科学的知見、コンセンサスに基づいて進めることが重要と考える。
(署)これは次回の宿題とする。
【福島県外の甲状腺検診を要求】
2つ目の要求は「福島県外の甲状腺検診」です。茨城県・千葉県で独自の甲状腺検査をする市町村の検診データを示して、国の検診を要求しました。松戸市議・増田さんも出席。
(署)一番大規模に甲状腺検診を行っている東海村は、3800人以上の子どもを検診。どうやっているのか電話で聞いた。検診は経験のあるエコー技師が行い、医師が診断。国からの支援は何もない、と。小さな村がこれだけ努力している。何で環境省は放置するのか。
(環)(「中間とりまとめ」をもとに、過剰診断の恐れとか不要な治療を受ける恐れとか、近隣県の有識者会議が『特別な検査は不要』と結論を出したとか理由をつけて、)環境省としては、たとえ希望者のみに対してであっても、福島県外での実施には慎重であるべき。
(署)福島県よりも汚染がきついところが関東に、面的に広がる。文科省の航空モニタリングでも判る。松戸などは会津より高い。
(松戸市・増田議員)環境省はどのように責任を感じているのか?ぜひ答えをほしい。専門家会議でも近隣県のことは議論されなかった。最近出た厚労省の「H26年度分担研究報告書」で、「現時点で・・・・・・因果関係を明確に否定することも難しい。」「福島県と近隣県では、がん登録と被ばく手帳を組み合わせフォローアップする必要がある」という意見を取り入れてほしい。
(署)松戸市でも百数十人の中で1,2人と「要精密検査者」が見つかった。また千葉県には有識者会議はない。中間とりまとめは千葉県には形式的にも当てはまらない。
(環)近隣県では、福島の県民健康調査の結果を見て、その上で心配な人にはリスクコミュニケーション、個別相談を充実させる。
(署)それだけか?松戸市から何度も甲状腺検査の要求があるだろう。
(増田市議)被ばくさせた責任が感じられない。虚しい。被ばくさせた側が責任持ってやるべき。松戸市も健康推進課が苦労して甲状腺検診を整えているが、医師も理解が行き届かないので、国が見てほしいと現場から声が上がっている。チェルノブイリとは人口密度が全然違う。相当の被害が出てもおかしくない。初期被ば
く内部被ばくを受けている。誰の責任か?
(環)個人的には私も全くその通りと思う。それをどういう風にやっていくか、それは国全体の責任。復興と併せて進める。個人的にはそう思う。
(署)それで、環境省としては?
(環)国は統一的基礎資料を作っている。環境モニタリング、除染、食品など全ての情報がある。これで正しい情報を広げる。
(署)米エネルギー省が2011年4月に浜通り、中通りの航空モニタリングをやってヨウ素を検出した。そのデータはご存じか?
(環)はい。
(署)ヨウ素131はセシウムと挙動が違う。ヨウ素131は南の方に直線的に大きな汚染を残した。これは確認できるか?
(環)ええ。
(署)残念ながらいわき市までのデータしかないが、いわきまで非常に高濃度のヨウ素が検出された。だから茨城、千葉に流れたことははっきりしている。米国の調査結果でも関東圏に大量のヨウ素が降り注いだことは明らか。他の調査でも広範囲にヨウ素を検出、甲状腺がんに強いインパクトを与えたことは間違いない。この結果を無視するのか?
(環)統一的基礎資料にヨウ素の濃度が出ている。その中で全体でどうなっているのか考えて頂ければ・・・・。
(署)だから関東圏を含めて甲状腺検査をするべきだ、と言っている。今あるデータだけでも関東にすごい影響が出ている。
(環)南の方、茨城、栃木へ流れたと言うが、それは程度問題。福島の方に幅広くあるからそこを調査している。
(署)程度問題と言うが、どのくらいヨウ素が降ったか測ったのか?データあるなら出しなさい。
(環)確か載っていたので、ヨウ素の資料がどこにあるか、後ほど確認して小山さんに伝える。
(署)明らかに公表資料でも、北関東に高濃度のヨウ素が確認されている。だからいろんな自治体が努力している。なぜ目をつぶる?
(環)JAEA東海村や筑波でヨウ素を検出した結果を基に評価している。また中間とりまとめでは、甲状腺検査のメリット、デメリットを考えながら進めている。
(署)環境省が本気でそう思うなら、東海村がやっているスクリーニング検査は危ないと言うことか? ところが天野さんの前任者は、『勝手にやってください。』『自治体の検査は専門家がやるのでないから検討材料に加えない』と言った。本気で心配するなら、もっと関われよ。
【署名は136147筆(今回4796筆提出)】
ここで時間切れ。3点目の要求は説明のみ。福島訪問で聴いた健康被害が、どこでも驚くほど共通であること(心臓病による突然死、目の病気・飛蚊症、関節痛)など指摘。最後に署名を4796筆提出しました。
この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。一方で7月、福島県が不十分ながら甲状腺治療費を補償する制度をつくり、世論が県を動かし始めました。
また、7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策を求める段階に移ります。引き続き放射能健診署名にご協力ください。
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