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放射能健診100万人署名運動

国と東京電力が、希望する全ての人に放射能健診を行うよう求める運動です。署名を全国で100万筆集めて、国に提出します。
  • 署名用紙DL
  • ネットで署名

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 昨年12月18日、環境省・厚労省・原子力規制委員会と交渉、および署名提出を行いました。署名は2894筆(累計164295)になりました。交渉の要求は、(1)人口動態統計に基づく周産期死亡率の調査、(2)避難区域解除に反対すること(以上、厚労省母子保健課)、(3)東京都内の土壌調査、(4)原爆被爆者援護法に準ずる健診制度(以上、環境省)、です。

 前回7月の交渉では厚労省は自らの責任を否定できず、周産期死亡率の調査を行うと回答しましたが、今回は態度が硬く、「周産期死亡率にバラツキがあることはわかった。後は環境省の仕事」と何も答えない官僚答弁に終始しました。また環境省は、私たちが要求してきた周産期死亡率の問題に新たな反論材料として、最近公開された国連科学委員会(UNSCEAR)の2017年白書に「周産期死亡率の上昇を指摘する論文には弱点がある。また、被曝量との因果関係を指摘するものではない」とあることを持ち出しました。この問題が世界的な影響を持つとともに、この点が今後の交渉の争点になると思いました。福島みずほ議員も交渉に参加し、今後も交渉を継続する事を確認しました。

 詳しい内容は以下の、参加した方の感想と報告をご覧ください。

【政府交渉に参加して】小張佐恵子さん(茨城県)
 
 12月18日に参議院議員会館で開催された健康診断要請などの政府交渉に参加してきました。

 この交渉は、すべての国民に対する放射能健康診断を求める100万人署名実行委員会の呼びかけによるものでした。

 当日は環境省・厚労省(母子保健課)・原子力規制庁(環境監視課)の職員7名が出席し、請願側は放射能健診署名実行委員会20人と、私たち「福島と全国のつどい」からの参加が茨城・長野・愛知県より4名、福島みずほさんも出席され、計25名でした。

 交渉は既に10回以上になるとのことで、事務局の小山さんが代表でお話しされました。年に3~4回署名提出と交渉するほか、福島での駅前アンケートの実施や対話、聞き取りによる実態調査、被災者を大阪へ招いての報告会開催など粘り強い活動が大変すばらしいです。希望するすべての市民に放射能健康診断を求める署名活動は、本当に重要で必要な運動だと思います。

 実行委員会のチラシによると、過労死遺族の会は50万筆の署名を集めて過労死防止対策推進法を2016年に成立させたそうで、特に期限を切らず100万筆を目指しています。この日は署名を2894筆を提出され、累計で164295筆となったそうです。

 前回の交渉で、福島と近隣県での胎児・乳児の死亡率上昇への対策を厚労省・母子保健課が独自に人口動態統計を見直す事を要求し、「福島原発のことは環境省の仕事」と言わせず、人口動態統計を自ら検討する旨の約束をしたそうです。今回はこの問題で厚労省の回答を求めましたが、「環境省の研究を注視する」の回答を繰り返すばかりで、のらりクラリ、さっぱり要領を得ません。

 環境省も「福島近隣県の疾病の委託研究(H29年度にまとまる)を見てから判断」と、今は何もしない態度表明を繰り返し官僚答弁に終始して、国民の痛みに対する無関心には驚くべきものがありました。

 環境省が昨年8月に発表した「福島県内外での研究疾病罹患動向の把握に関する調査研究」(平成28年度版)は、福島と近隣県での周産期の死亡率の上昇を否定しており、答弁はそれに沿ったものです。

 仕事をする気が無い、あるいは判っていて隠蔽しているというのが実態だと思いました。チェルノブイリのかけはしの野呂美加さんは「3・11後、厚生省は隠遁生活に入った」と表現していましたが、まったくです。                                                            

 私がこの交渉に参加することになったのは、周産期死亡率等を研究している菊池栄さんという方から、富岡町の木田節子さんに引き合わせていただきたいので、一緒に来て欲しいと言う依頼があったからです。菊地さんは、11月初旬に開催された内部被曝報告集会での報告で周産期死亡率について、「近年、驚くべきことに福島県だけデータを採っていない」と指摘されて、「かろうじて得られる数字から見る増加率も目立ったものではない」と言われました。とは言っても、増加は否定出来ません。

 集会で私は木田さんと木田さんの娘さんが経験した出来事を話しました。

 稽留流産との診断で強要された中絶という辛い出来事があり、しかも仲の良い4人の女性がほとんど同時期に同じ経験をしたのです。偶然と言うにはあまりにも不自然であり、しかも手術で朦朧とする最中に、その胎児の細胞を「福島医大に送る」ことを受け入れさせられたのです。

 この出来事の裏側には、障害児の出生や流産を隠し、阻みたいと言う暗い意図が透けて見えると私たちには思えます。「あらゆる数字が操作されているのではないか?」と。 そんな経緯から、参加した交渉でした。

 血の通わない無機質な官僚の答弁を聞いているうちに怒りが湧いてきて、ここに福島の避難者が来ているので、是非生の声、話を聞いてもらいたいと、木田さんに発言してもらうことになりました。木田さんが語り掛ける声に、会場はシーンと静まり返り、皆さん息を呑んで耳を傾けました。

 木田さんの話は、息子さんが子供の頃に悪性リンパ腫に罹患して長い闘病生活の末に生還したものの、周りに子供の白血病が多発していた話から始まり、娘さんが受けた中絶手術が本当に必要なものだったのかどうか?いまだに納得できず、どんなにか心を痛めているかを切々と訴えました。

 その他、福島で現在起きていること・・・・。知人のお連合いが妊娠6カ月で堕胎させられた胎児には片手片足が無かったこと。多指の出産などが散見されること。ガンや心臓疾患など病気の多発等も含めて約20分間くらい話されました。職員は、無表情にただ黙って聞いていました。

 さらに交渉で実行委員会が、東京・関東も継続して放射能汚染されており、決して収束しておらず状況は変わっていないことを指摘されましたが、環境省は「承知している」-つまり判っていると述べました。

 東京都内でセシウム降下量が減るどころか増えており、季節変動が大きいことを示し、国により詳しい土壌調査を要求しました。

 原子力規制庁は、都道府県に委託して土壌調査をしていますが、5箇所と極めて少なく、年に1回しか測定していません。彼らは「測定回数を見直す余地はある」と答えました。下の図は新宿・東京健康安全研究センターによるセシウム137降下量の調査。ここ数年でちっとも減っていないことが見て取れる。

 そして最後に、原爆被爆者援護法の健康診断制度に準じて「希望するすべての市民に放射能健康診断調査を実施すること」を要求しました。被爆者援護法は生涯1mSv以下の被爆者にも健康診断を国が年2回行う事を定めているのに、福島原発事故の被災者に同様の健康対策がとられていないことの矛盾と不条理を追及しました。

 この視点はとても重要だと感じました。原爆被爆者援護法はあらゆる病気が被曝によって引き起こされることを認めているのです。

 福島瑞穂議員は最初から最後まで参加して力強く発言してくださり、原子力規制庁に全国の土壌調査の結果のデータ提出を求めてくださいました。

 これからも話し合いを続ける事が表明され、3時から始まった交渉は5時過ぎに終わりました。

 その後、菊地さんと木田さんと小張、そして実行委員会事務局の小山さんと4人で地下のカフェスペースで7時まで話をしました。

 木田さんは、反原発運動で知り合った福井の原発立地地域の若い男性から、「自分の周りに白血病になる人がたくさんいたことが、どんなに異常な事態だったのか!東京で仕事をして初めてわかった」と聞いたことで、「その時初めて、息子の病気が通常運転中の原発から漏れ出た放射能の所為によるものかもしれないと知り、大きな衝撃を受けた」と、この集会後の語らいの中で話されました。
話が弾んで立ち話を続ける菊池さんと木田さんを残し、高速バスで戻るために東京駅に向かう大阪から来られた小山さんと別れ、私もこの署名活動に参加しなければと思う気持ちを抱えながら、茨城への帰路につきました。                                                       

 皆様も署名にぜひ参加していただきたいと思います。 交渉の様子はこちら(動画)。

【2017年12月福島県民健康調査の「甲状腺検査」結果について】

 福島県が昨年末に公表した子どもの甲状腺検査の結果では、新たな甲状腺がんの患者はいませんでした。

 一方で3巡目の甲状腺検査の進み方が遅いことが気になります。「平成28年度検査実施市町村」では3巡目検査が始まってから1年半近く経ちますが、受診率が63%です。子どもたちが進学・就職すると検査を受けにくくなるのか、18歳以上の受診率が12%以下です。

 もっと気になるのが、二次検査でいわゆる「通常診療など」と判定された人たちのうちで細胞診を受けた人の割合が5%で、とても少ないことです。

 この傾向は回を重ねるごとに強まっています。一巡目検査では40%あった細胞診の受診率は、二巡目検査で15%に、3巡目検査はまだ途中ですが5%です。細胞診を実施する基準が変わってきたのか? 甲状腺検査結果などを評価する検討委員会の議事録を読んでも、この点の具体的な質問と説明はありません。

 しかし二巡目検査が行われていた時期に、甲状腺検査に対して「過剰診断だ」という難癖が、主に部外者である「専門家」から加えられ、それが影響し、あるいはそれを利用して、福島県立医大が診断の基準を実質的に高くしたのではないか、と疑いを持ちます。

 この点も福島県への申し入れの中で明らかにしたい点です。

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