忍者ブログ

放射能健診100万人署名運動

国と東京電力が、希望する全ての人に放射能健診を行うよう求める運動です。署名を全国で100万筆集めて、国に提出します。
  • 署名用紙DL
  • ネットで署名

ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

11/12、環境省・厚労省などに請願交渉。署名3018筆を提出

 11月12日、放射能健診署名を環境省に提出し、環境省、厚労省などに請願交渉を行いました。今回も福島みずほ議員事務所にご尽力いただきました。 放射能健診署名を新たに3018筆提出し、合計167313筆になりました。


 今回の要求と交渉内容は概ね以下の通りです。


【環境省】


 福島県民健康調査・甲状腺検査(2巡目)の結果、新たに子ども、若者に71人の甲状腺がん患者が確認されたことをふまえ、福島県と周辺の都県で甲状腺がん検査「中間とりまとめ」の「原発事故の影響とは考えにくい」旨の見解を見直すよう求めました。また福島県と近隣都県で甲状腺検査を行うよう求めました。環境省の返事は、

・ 2巡目の甲状腺がん検査の結果の評価と、環境省の2014年「中間とりまとめ」の見直しを求めましたが、環境省は「福島県甲状腺部会の検討を見守る。」「甲状腺部会の結論を見て、中間とりまとめの見直しを判断する」の回答を繰り返すのみ。我々から、「福島県は中間とりまとめの見直しはいつになるかわからない、と表明している」 と指摘しても、「福島県が甲状腺部会で詳細に検討している」と福島県に押し付けて逃げました。

・ 人権理事会報告官の声明(10月25日)について、環境省は回答を拒否。代わりに内閣府が、「20mSvに引き上げたというのは事実誤認。現存被曝状況の中で・・・・・。20mSvは喫煙よりリスクは小さいと判断。」「1mSvに向けて個人線量計や除染、リスクコミニュケーションを続ける」と答弁。我々は「環境省は技術的な関与、アドバイスをした責任があるだろう」と問しました。内閣府が環境省の関与を認めたが、環境省職員はこの点を知らない様子で答えられず。

・ 避難区域のモニタリングポスト空間線量の日々の定期変動について、原子力規制庁が「大幅な変動とは思わない」と繰り返し平行線。この点では我々が新たな資料を規制庁に渡して検討を求めることにしました。


【厚労省】

周産期死亡の増加の対策を求め、議論のために母子保健課内の専門職員の出席を予め求めていました。また今回新たに「全国がん統計」(2014年)が公表されたので、がん罹患が増えているかもしれない、との危惧を伝え、見解を求めました。

・ ところが厚労省は今回も事務官と筆記係のみ出席させ、「周産期死亡にはバラツキが大きいので注意を要する。」「周産期死亡は、環境省が研究者に委託した調査を注視している」と答えた後は実質的な議論を拒絶。 私たちが環境省の委託研究のごまかしの方法(調査人数を減らす等)を指摘して、どっちがより正確か?としつこく追及すると、ようやく「一般論で、バラツキを小さくするためにサンプル数を増やすことは統計学の方法」と認めましたが、後は「環境省に任せている」旨を10回以上繰り返すばかりでした。

・ 事前の要請書で、全国がん統計の罹患率の評価を求めていましたが、これに関わる部局の出席を拒否(「環境省の担当である」)。交渉の場で私たちは、厚労省のどこががん統計の担当部局かと問い、総務課職員が「がん担当はいろいろあるが、統計は医政局医療経営支援課」と答えました。

  また「WHOが横浜市医大に委託調査している先天性異常出産のデータを厚労省は共有しているか?」と問い、「調べる」との回答でした。

・ 原爆被爆者援護法の制度を参考にして健康診断、医療補償、健康手帳の交付を求めました。原爆被爆者の健康診断の予算は年間24億円。オスプレイ1機減らせば4年分の健診費用になる、と訴えました。


【まとめ】

①甲状腺がん(2巡目検査)の結果は否定できないがん多発を示すために、環境省は一切の具体的なコメントを拒絶。また厚労省も周産期死亡の評価で具体的なコメント・討論を避け、専門官の出席を拒否し続けました。交渉としては厳しいが、国が隠したい事実を追及し続けて来たことの反映です。

②甲状腺以外のがん多発の懸念や空間線量変動など、新たな事項を交渉テーマに入れました。これらは医師・専門家とともに協議して、争点として今後具体化します。

③国の回答のひどさを問題化するためにも、議員事務所を通じて質問状を提出し、文書回答を求めることを、時間の交渉までに実行したい。(彼らが回答を拒絶したコメントなど)


異常な多発であることが一層明確に。
【福島県甲状腺検査(2巡目)

上記の11月12日の環境省らへの請願では、国側が福島原発事故以後の健康被害を否定できなくなり、交渉で回答自体を拒否する姿がはっきり現れました。10月には国連人権理事会報告官が名指しで、「勧告を無視している」との言葉を使って日本政府の20mSv避難区域解除を批判しました。先日、トルコへの原発輸出が中止されることが報道されました。政府の原発政策は大きな壁に直面しています。

ここでは11月に行った環境省らとの交渉で指摘した、健康被害の新たな事実と、国・福島県の事実隠しの方法を整理します。


【甲状腺がん】

 表は、岡山大・津田敏秀教授の分析を参考にした福島県の県民健康調査・甲状腺検査の2巡目検査の結果です。2巡目検査の結果が特に重要な理由は、既に1巡目の「先行検査」で一旦がん罹患者は全て発見され、2巡目検査で発見されたがんは先行検査の後に発生したがんである、と見なされるからです。


 2巡目検査の間に71人の子ども・青年にがんが発生しました。福島県内の地域ごとにまとめると、全国平均の15~40倍の高率です。また2巡目検査の重大な特徴は、地域差がはっきり現れたことです。表の「オッヅ比」の項に、福島県南東地域の甲状腺がん発見率を1.00として、各地の発生率を表示しました。避難区域などを含む「近距離地域」の日が3.46倍、福島市を含む「中通り北」や二本松市・本宮市を含む「中通り・中央」、郡山市、いわき市でオッヅ比が1を超え、原発に近い地域や初期に大量のプルームが通過した地域での発生率がより高いことが示されます。

次に、3巡目の甲状腺検査に関わる問題を指摘します。3巡目検査で新たにがん罹患を発

見された方は今年6月末時点で15人です。2巡目までの検査結果と比べてかなり少なく、これが事実なら少し安心できるのですが、大きな疑問があります。がんを直接発見する細胞診の受診者を意図的に減らしているのではないか?


 今までに何度も指摘したように、B判定など精密検査(二次検査)受診者のうちで細胞診の受診率は、以下の世に毎回大幅に減ってきました。

 細胞診の受診率 【1巡目】40%→ 【2巡目】15%→ 【3巡目】6%      


 福島県はこの理由を、①「前回までに細胞診を受けて、がんでなかった人には、細胞診をしない。」 ②「検査の経験値が向上して、エコー検査の段階でより正確に細胞診の受診者を抽出できる」旨を答えました。しかしこれには偽り、または重大な問題があります。
 

   → 福島県民健康調査の公表データを見ると、1巡目以降の甲状腺検査の精密検査(二次検査)で「経過観察」とされた後に3巡目検査中の20186月末までに細胞診を受けてない人は少なくとも1282人。またこの方々の中で3巡目検査を受けなかった人と、3巡目検査を受けて「経過観察」とされても細胞診を受けられなかった人とは、あわせて少なくとも886人いらっしゃいます。問題は「経過観察」中の方々の中から少なくとも7人に甲状腺がんが発症していたことで、10万人あたり500人以上の大変な高率です。この方々への診察を意図的に抑えているのか? あるいは福島県が公表するがん患者数から除外する目的で「経過観察」にしているか? いずれにしても県民を健康を二の次にする行為です。

   → 3巡目までの細胞診受診者のうち「がんまたはがん疑い」と診断された人の割合は

  【1巡目】21%→ 【2巡目】34%→ 【3巡目】33%
 

で、確かに2巡目には精度が上がりましたが、3巡目では変わりません。「経験値が上がった」とは言えないはずです。

 結局、細胞診の実施数を減らして甲状腺がんの発見数を減らすことが目的ではないか、との大きな疑問が残ります。細胞診を制限することはがんの発見も遅らせかねない、重大な問題です。

 

日本政府の年間20mSvで帰還強制を名指しで批判

【国連人権理事会特別報告者の声明】


 10月25日に公表された国連人権理事会特別報告者の声明とその際の記者会見で、報告者トゥンジャク氏は日本政府の避難区域への帰還政策について、「避難指示の解除は、原発事故で生活を脅かされてきた人々に新た大きな圧迫を与えている。・・・多くの人々が事故以前の放射線の規制基準を超える区域への帰還を強要されたと感じている。」「残念だが、日本政府は国連人権調査官の、放射線規制レベルを事故前の水準に戻すべきとの勧告をほぼ無視しているように見える」と名指しで批判しました。特に
声明と報告書は、20mSv /hを基準とした避難指示解除が、特に子どもと妊娠の可能性がある女性にとって危険だと批判しました。


 政府は、個人線量計や除染、リスクコミニュケーションで被曝線量を減らしている旨を主張しますが、健康診断や避難用住宅の支援を拒絶した対応は、今後一層、世界の批判に曝されます。

【人権理事会特別報告者の声明】

 Baskut Tuncak,氏の人権理事会への報告書より引用【20181026日】

 

54.段落) 原子力事故後の数年間、福島の復興事業の全面的な進行にともない、大半の避難区域で避難指示の解除が実行された。20173月には政府の避難指示区域外からの自主避難者への住宅支援が打ち切られた。

55.段落) 原子力事故の後、日本は福島住民の放射線被曝量の許容水準を年間1mSvから20Svに引き上げた。人権理事会の定期審査は、日本政府が被曝許容水準を福島事故以前の水準に戻すよう勧告した。特別報告者は日本政府に、復興に携わる労働者の問題と共に、子どもと妊娠可能年代の女性を含む住民が年間被曝線量が1mSvを超える地域に帰還する際に直面する状況について、注意するよう促した。最近、復興作業の労働者の肺がん死は放射線被曝に起因すると認められた。

註)原発事故の復旧作業の労働者のうち6人に、放射線の影響でがんを発症したとして労働災害が認められました。3人が白血病、2人が甲状腺がん、1人は肺がんでした。

PR

ページトップへ戻る