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環境省交渉の報告
昨年 11 月 7 日に環境省と放射能健診に関わる交渉と署名5077筆を提出しました。(ずいぶん遅れての報告で申し訳ありません。)今回も福島みずほ議員の事務所にご尽力いただきました。
今回の交渉のテーマ・要求は、
①原発事故後に乳児死亡率と周産期死亡率が増加した事実への見解を示すこと。
②福島県民健康調査検討委員会・甲状腺部会の清水一雄部会長が辞意を表明し、「放射線の影響ではないかという懸念も考慮に入れながら検証」すべき旨を述べたことも踏まえ、甲状腺がんの多発が「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」とする環境省専門家会議「中間とりまとめ」の結論を見直すこと。
③被爆者援護法にならい、希望するすべての人への健康診断を実施すること、でした。
【交渉の要約】
環境省は、放射線健康管理担当参事官室から参事官補佐と専門官が出席。
①死産・周産期死亡率の上昇を事実として認めるか?
(署名実行委員会)世界的な疫学専門誌に掲載された論文で、統計的に周産期死亡率や死産率の上昇が確認された。これについて見解を求める。
(環境省)個々の論文を評価する立場にはない。その論文も含めて調べている。WHO、UNSCEAR と福島県の検討委員会は『影響なし』とする。
(署)福島県の検討委員会の「妊産婦調査」には欠陥がある。死亡率の急上昇は一斉に2013年12月と翌年1月の間に起こったが、検討委員会の報告は1年単位で結果を比べるので、ひと月毎の変動を読み取れない。しかも平成23年以降だけを見て正しい評価が出せるはずがない。
(環)データについて環境省は言う立場にない。1つ1つの論文に対して見解は出していない。
(署)死産率が増えた。生まれるべき子どもが死んでいる。環境省はどのように見ているのか?見解を聞かせてほしい。人道問題だ。
(環)個人として小児科医として週一回、福島へ行っている。超音波検査を見ている。感想は難しい。この論文への批判を書いている論文もある。モデルの推計、数字に関しては述べられない。
(署)死亡率が上昇していることはあきらか。認めないのか?
(環)1つ1つの論文に対し見解は出していない。議論は大切である。WHO,UNSCEARがたくさんの論文を検証しているのは参考にしている。環境省の委託研究として福島と近隣県でのがん、循環器疾患、先天性の異常などの動向の把握は行っている。平成29年度には結果が出る。
(署)まだ2年も結論が出ないのか?!福島の街頭で署名などしていたら「子どもが心配」と多くの人が署名をしてくれる。結果が出るまで2年間も何もしないのは後手すぎる。
(環)ゆっくり進めているのではない。迅速に確実にしている。数年ではわからない。誤った考えだと風評被害につながる。
(署)今でも健康被害が出ているのに、そんなに待っている間は何もしないのか。福島県からもらったデータを分析しないのか? 周産期、死産は調査内容に入っているのか?
(環)入っている。
(署)周産期以外の死産は調査するか?
(環)調査対象に入れていない。
(署)事実として人が死んでいる。調査ばかりでなく具体的な動きを作ってほしい。あと2年も調査だけで何もしないのは人道的に問題。
(環)われわれも進捗状況を見ている。短期間で判断は難しい。29年度のあとに報告が出る。
(署)納得できない。
②甲状腺がん多発に関わる環境省の『中間とりまとめ』の見解の見直しについて。
(環)専門家会議の『中間とりまとめ』は、1巡目検査が終わって『多発』とは言っていない。2巡目は進行中で、その結果を待っている。
(署)世論は、やっぱり被害が出ていたと思っている。福島県の部会長も、辞任して言いたいこと を言う、と新聞に載っている。
(環)福島県に確認したら、清水氏は検討委員の辞表は出していない。放射能の影響も考慮してやっている。福島県には技術、経済的に支援をしている。環境省と福島県は別。先行検査と2巡目は違う。あくまでも2巡目をしっかり考慮すべきと認識。チェル ノブイリよりも被ばくは低い。スクリーニング効果もある。
(署)環境省は2巡目が終わって来年どうするのか?考えているのか?
(環)まだ考えていない
(署)一巡目の際には『中間とりまとめ』は先行検査と同時に行った。もっと事態を深刻に考えて、 もっと早く動けないのか。
(環)先行検査の見直しはしない。2巡目の結果が出てから評価する。
(署)それなら2巡目の結果を基に環境省専門家会議を再開して、『中間とりまとめ』の見直しをする予定はあるのか?そのための予算はつくのか?
(環)今の段階では決まっていない。
(署)再検討のやり方が決まっていないのか?それとも2巡目の結果の検討会の予定がないのか?
(環)今のところ検討会を開催する予定はない。
(署)行政が『原発事故の影響とは考えにくい』と言うから、甲状腺がんの対策が進まない。評価見直しをするべきだ。2巡目検査でがん患者が増えているのは、明らかにおかしいのだから。しかも福島県では甲状腺検査を縮小しようとする動きがある。
(署)がん患者が174人も出ている。早く何とかしろ!と声が上がっている。
(環)早急に進めてほしいというのはわかる。しかし科学的根拠をもってやっていかないと。
③被爆者援護法のような健康診断制度の実施について。
(署)原爆被爆者への健康診断(年2回)と医療補償の費用は年にどれくらいか知っているか?
(環)わからない。近隣県の専門家会議で『健康診断は不要』との結論が出ている。対策として、 疾病動向調査を委託研究中。
(署)近隣県の専門家会議は全てが、甲状腺がんが表面化する前の2011年度に終わり、検討内容も実にお粗末。千葉県は検討会を行なわなかった。群馬県は1回だけ1時間集まってすぐに結論を出したが、甲状腺がんの検査結果も出ていない段階でまともな検討ができるはずがない。
(環)確かにこの1,2年の検討結果ではない。
(署)原爆被爆者援護法では17万人に年2回無料診断。年間30億円、オスプレイ1機やめたら 7年分ですよ。リスクコミュニケーションも心だけでなく、体のケアをしてください。
(署)茨城県下では甲状腺検査やホールボディカウンター検査を行う市町村が増えている。自治体はやっている。その補助を出さないのか?周産期死亡が増えて影響は出てきている。がん以外も考える立場に立たないか?
(署)3年もかかっての結論は遅すぎる。千葉、茨城など改めて調査したらどうだ?予算をつけてできるのでは?
~【ここで時間切れ、交渉終了】
【まとめ】 私たちは、福島県検討委員会の乳児死亡や周産期死亡率の評価方法の間違いを説明し、また近隣県での健康診断を拒否する環境省の言い分が崩れていることを指摘しました。
一方、環境省は乳児死亡の増加の事実を否定できず、具体的な事実確認から逃げ回りました。甲状腺がん多発事態について“福島県の2巡目検査後にも環境省専門家会議「中間とりまとめ」 の見直しをする予定はない、”と開き直り、彼らの委託調査結果が出る2018年3月まで何の対策もしないと強調しました。これでは早くても対策の予算化~実行は2019年4月以降になります。
今回は厚労省が出席しませんでした。厚労省に責任を求める交渉が必要です。次回は厚労働省の出席を求めて交渉に臨みます。
★ 次回の請願交渉は、今年3月27日(月)を予定しています。詳細が決まり次第、ご案内します。