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放射能健診100万人署名運動

国と東京電力が、希望する全ての人に放射能健診を行うよう求める運動です。署名を全国で100万筆集めて、国に提出します。
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 昨年12月18日、環境省・厚労省・原子力規制委員会と交渉、および署名提出を行いました。署名は2894筆(累計164295)になりました。交渉の要求は、(1)人口動態統計に基づく周産期死亡率の調査、(2)避難区域解除に反対すること(以上、厚労省母子保健課)、(3)東京都内の土壌調査、(4)原爆被爆者援護法に準ずる健診制度(以上、環境省)、です。

 前回7月の交渉では厚労省は自らの責任を否定できず、周産期死亡率の調査を行うと回答しましたが、今回は態度が硬く、「周産期死亡率にバラツキがあることはわかった。後は環境省の仕事」と何も答えない官僚答弁に終始しました。また環境省は、私たちが要求してきた周産期死亡率の問題に新たな反論材料として、最近公開された国連科学委員会(UNSCEAR)の2017年白書に「周産期死亡率の上昇を指摘する論文には弱点がある。また、被曝量との因果関係を指摘するものではない」とあることを持ち出しました。この問題が世界的な影響を持つとともに、この点が今後の交渉の争点になると思いました。福島みずほ議員も交渉に参加し、今後も交渉を継続する事を確認しました。

 詳しい内容は以下の、参加した方の感想と報告をご覧ください。

【政府交渉に参加して】小張佐恵子さん(茨城県)
 
 12月18日に参議院議員会館で開催された健康診断要請などの政府交渉に参加してきました。

 この交渉は、すべての国民に対する放射能健康診断を求める100万人署名実行委員会の呼びかけによるものでした。

 当日は環境省・厚労省(母子保健課)・原子力規制庁(環境監視課)の職員7名が出席し、請願側は放射能健診署名実行委員会20人と、私たち「福島と全国のつどい」からの参加が茨城・長野・愛知県より4名、福島みずほさんも出席され、計25名でした。

 交渉は既に10回以上になるとのことで、事務局の小山さんが代表でお話しされました。年に3~4回署名提出と交渉するほか、福島での駅前アンケートの実施や対話、聞き取りによる実態調査、被災者を大阪へ招いての報告会開催など粘り強い活動が大変すばらしいです。希望するすべての市民に放射能健康診断を求める署名活動は、本当に重要で必要な運動だと思います。

 実行委員会のチラシによると、過労死遺族の会は50万筆の署名を集めて過労死防止対策推進法を2016年に成立させたそうで、特に期限を切らず100万筆を目指しています。この日は署名を2894筆を提出され、累計で164295筆となったそうです。

 前回の交渉で、福島と近隣県での胎児・乳児の死亡率上昇への対策を厚労省・母子保健課が独自に人口動態統計を見直す事を要求し、「福島原発のことは環境省の仕事」と言わせず、人口動態統計を自ら検討する旨の約束をしたそうです。今回はこの問題で厚労省の回答を求めましたが、「環境省の研究を注視する」の回答を繰り返すばかりで、のらりクラリ、さっぱり要領を得ません。

 環境省も「福島近隣県の疾病の委託研究(H29年度にまとまる)を見てから判断」と、今は何もしない態度表明を繰り返し官僚答弁に終始して、国民の痛みに対する無関心には驚くべきものがありました。

 環境省が昨年8月に発表した「福島県内外での研究疾病罹患動向の把握に関する調査研究」(平成28年度版)は、福島と近隣県での周産期の死亡率の上昇を否定しており、答弁はそれに沿ったものです。

 仕事をする気が無い、あるいは判っていて隠蔽しているというのが実態だと思いました。チェルノブイリのかけはしの野呂美加さんは「3・11後、厚生省は隠遁生活に入った」と表現していましたが、まったくです。                                                            

 私がこの交渉に参加することになったのは、周産期死亡率等を研究している菊池栄さんという方から、富岡町の木田節子さんに引き合わせていただきたいので、一緒に来て欲しいと言う依頼があったからです。菊地さんは、11月初旬に開催された内部被曝報告集会での報告で周産期死亡率について、「近年、驚くべきことに福島県だけデータを採っていない」と指摘されて、「かろうじて得られる数字から見る増加率も目立ったものではない」と言われました。とは言っても、増加は否定出来ません。

 集会で私は木田さんと木田さんの娘さんが経験した出来事を話しました。

 稽留流産との診断で強要された中絶という辛い出来事があり、しかも仲の良い4人の女性がほとんど同時期に同じ経験をしたのです。偶然と言うにはあまりにも不自然であり、しかも手術で朦朧とする最中に、その胎児の細胞を「福島医大に送る」ことを受け入れさせられたのです。

 この出来事の裏側には、障害児の出生や流産を隠し、阻みたいと言う暗い意図が透けて見えると私たちには思えます。「あらゆる数字が操作されているのではないか?」と。 そんな経緯から、参加した交渉でした。

 血の通わない無機質な官僚の答弁を聞いているうちに怒りが湧いてきて、ここに福島の避難者が来ているので、是非生の声、話を聞いてもらいたいと、木田さんに発言してもらうことになりました。木田さんが語り掛ける声に、会場はシーンと静まり返り、皆さん息を呑んで耳を傾けました。

 木田さんの話は、息子さんが子供の頃に悪性リンパ腫に罹患して長い闘病生活の末に生還したものの、周りに子供の白血病が多発していた話から始まり、娘さんが受けた中絶手術が本当に必要なものだったのかどうか?いまだに納得できず、どんなにか心を痛めているかを切々と訴えました。

 その他、福島で現在起きていること・・・・。知人のお連合いが妊娠6カ月で堕胎させられた胎児には片手片足が無かったこと。多指の出産などが散見されること。ガンや心臓疾患など病気の多発等も含めて約20分間くらい話されました。職員は、無表情にただ黙って聞いていました。

 さらに交渉で実行委員会が、東京・関東も継続して放射能汚染されており、決して収束しておらず状況は変わっていないことを指摘されましたが、環境省は「承知している」-つまり判っていると述べました。

 東京都内でセシウム降下量が減るどころか増えており、季節変動が大きいことを示し、国により詳しい土壌調査を要求しました。

 原子力規制庁は、都道府県に委託して土壌調査をしていますが、5箇所と極めて少なく、年に1回しか測定していません。彼らは「測定回数を見直す余地はある」と答えました。下の図は新宿・東京健康安全研究センターによるセシウム137降下量の調査。ここ数年でちっとも減っていないことが見て取れる。

 そして最後に、原爆被爆者援護法の健康診断制度に準じて「希望するすべての市民に放射能健康診断調査を実施すること」を要求しました。被爆者援護法は生涯1mSv以下の被爆者にも健康診断を国が年2回行う事を定めているのに、福島原発事故の被災者に同様の健康対策がとられていないことの矛盾と不条理を追及しました。

 この視点はとても重要だと感じました。原爆被爆者援護法はあらゆる病気が被曝によって引き起こされることを認めているのです。

 福島瑞穂議員は最初から最後まで参加して力強く発言してくださり、原子力規制庁に全国の土壌調査の結果のデータ提出を求めてくださいました。

 これからも話し合いを続ける事が表明され、3時から始まった交渉は5時過ぎに終わりました。

 その後、菊地さんと木田さんと小張、そして実行委員会事務局の小山さんと4人で地下のカフェスペースで7時まで話をしました。

 木田さんは、反原発運動で知り合った福井の原発立地地域の若い男性から、「自分の周りに白血病になる人がたくさんいたことが、どんなに異常な事態だったのか!東京で仕事をして初めてわかった」と聞いたことで、「その時初めて、息子の病気が通常運転中の原発から漏れ出た放射能の所為によるものかもしれないと知り、大きな衝撃を受けた」と、この集会後の語らいの中で話されました。
話が弾んで立ち話を続ける菊池さんと木田さんを残し、高速バスで戻るために東京駅に向かう大阪から来られた小山さんと別れ、私もこの署名活動に参加しなければと思う気持ちを抱えながら、茨城への帰路につきました。                                                       

 皆様も署名にぜひ参加していただきたいと思います。 交渉の様子はこちら(動画)。

【2017年12月福島県民健康調査の「甲状腺検査」結果について】

 福島県が昨年末に公表した子どもの甲状腺検査の結果では、新たな甲状腺がんの患者はいませんでした。

 一方で3巡目の甲状腺検査の進み方が遅いことが気になります。「平成28年度検査実施市町村」では3巡目検査が始まってから1年半近く経ちますが、受診率が63%です。子どもたちが進学・就職すると検査を受けにくくなるのか、18歳以上の受診率が12%以下です。

 もっと気になるのが、二次検査でいわゆる「通常診療など」と判定された人たちのうちで細胞診を受けた人の割合が5%で、とても少ないことです。

 この傾向は回を重ねるごとに強まっています。一巡目検査では40%あった細胞診の受診率は、二巡目検査で15%に、3巡目検査はまだ途中ですが5%です。細胞診を実施する基準が変わってきたのか? 甲状腺検査結果などを評価する検討委員会の議事録を読んでも、この点の具体的な質問と説明はありません。

 しかし二巡目検査が行われていた時期に、甲状腺検査に対して「過剰診断だ」という難癖が、主に部外者である「専門家」から加えられ、それが影響し、あるいはそれを利用して、福島県立医大が診断の基準を実質的に高くしたのではないか、と疑いを持ちます。

 この点も福島県への申し入れの中で明らかにしたい点です。

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★日時:7月28日(金)14時~ 
(13:30に参議院会館ロビーに集合してください。)

★場所:参議院会館B104号室
(東京メトロ有楽町線/半蔵門線/南北線「永田町」1番出口よりすぐ。
または丸の内線/千代田線「国会議事堂前」1番出口から5分)

★請願内容:
【厚労省】 福島県と近隣都県の胎児・乳児の死亡率増加について。/除染作業に係わる放射線障害防止規則(「除染電離即」)の運用と監督について。

【環境省】 放射能健診署名提出、および福島県民健康調査の甲状腺検査の統計に不備があることがわかったことに関連して、「専門家会議中間とりまとめ」の見直しについて。
 
 7月28日に、放射能健診要求署名を提出し、あわせて厚生労働省・環境省との交渉を行います。厚生労働省とは3回目の交渉です。

 3月に厚生労働省と2回目の交渉を行いました。この時の主要テーマは「胎児・乳児の死亡率の増加」を指摘する論文を提示して厚労省【母子保健課】に見解を求め、また年20mSv以下での避難解除は乳幼児の健康に悪影響があるので、「厚労省から避難解除に異議を表明するべきだ」と求めました。
 
 これに対して厚労省は、『持ち帰り検討する』旨を答えたので、今回は先ずこの点の回答を求めます。

 また疫学専門誌に掲載された胎児・乳児の死亡率増加のデータは、厚生労働省の人口動態統計ですから、指摘を受けたら厚労省が自らのデータを分析して見解と対策をまとめるべきもの。「個々の論文の評価についてはコメントしない」と言って傍観していては厚生労働省の職務を放棄することになります。前々回の交渉では医学博士の肩書きを持つ専門官が出席し、「関心を持って見ている」と答えていたので、改めて「関心を持っているなら自ら調査してください」と要求します。

 また今回新たに、除染労働者の放射線障害防止規則「除染電離則」の運用と監督に問題を取り上げます。例えば高汚染地域や高粉塵の除染作業では、防塵マスクの着用や休憩場所の条件が定められていますが、私たちが訪問した除染作業の現場では、これが守られているのか疑問な場面に出会いました。

 除染電離則を定め、監督するべき厚労省に、除染作業現場の実態の一端を伝えて、見解を求めます。
 
 ぜひご参加ください。

連絡先:小山潔 070-5653-7886
        nobiscum@wb4.so-net.ne.jp

なお、手元に署名をお持ちの方は、当日に持参していただくか、あらかじめ以下の住所に郵送してください。

〒536-0016 大阪市城東区蒲生1-6-21 LAGセンター内
放射能健診100万人署名運動全国実行委員会・
小山 潔あて

・3/27(月)11:00~12:00 

・参議院議員会館B109(10:40に参議院議員会館ロビーに集まってください)」

小山 070-5653-7886

昨年 11 月 7 日に環境省と放射能健診に関わる交渉と署名5077筆を提出しました。(ずいぶん遅れての報告で申し訳ありません。)今回も福島みずほ議員の事務所にご尽力いただきました。

今回の交渉のテーマ・要求は、

①原発事故後に乳児死亡率と周産期死亡率が増加した事実への見解を示すこと。

②福島県民健康調査検討委員会・甲状腺部会の清水一雄部会長が辞意を表明し、「放射線の影響ではないかという懸念も考慮に入れながら検証」すべき旨を述べたことも踏まえ、甲状腺がんの多発が「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」とする環境省専門家会議「中間とりまとめ」の結論を見直すこと。

③被爆者援護法にならい、希望するすべての人への健康診断を実施すること、でした。
 
【交渉の要約】

環境省は、放射線健康管理担当参事官室から参事官補佐と専門官が出席。

①死産・周産期死亡率の上昇を事実として認めるか?

(署名実行委員会)世界的な疫学専門誌に掲載された論文で、統計的に周産期死亡率や死産率の上昇が確認された。これについて見解を求める。

(環境省)個々の論文を評価する立場にはない。その論文も含めて調べている。WHO、UNSCEAR と福島県の検討委員会は『影響なし』とする。

(署)福島県の検討委員会の「妊産婦調査」には欠陥がある。死亡率の急上昇は一斉に2013年12月と翌年1月の間に起こったが、検討委員会の報告は1年単位で結果を比べるので、ひと月毎の変動を読み取れない。しかも平成23年以降だけを見て正しい評価が出せるはずがない。


(環)データについて環境省は言う立場にない。1つ1つの論文に対して見解は出していない。

(署)死産率が増えた。生まれるべき子どもが死んでいる。環境省はどのように見ているのか?見解を聞かせてほしい。人道問題だ。

(環)個人として小児科医として週一回、福島へ行っている。超音波検査を見ている。感想は難しい。この論文への批判を書いている論文もある。モデルの推計、数字に関しては述べられない。

(署)死亡率が上昇していることはあきらか。認めないのか?

(環)1つ1つの論文に対し見解は出していない。議論は大切である。WHO,UNSCEARがたくさんの論文を検証しているのは参考にしている。環境省の委託研究として福島と近隣県でのがん、循環器疾患、先天性の異常などの動向の把握は行っている。平成29年度には結果が出る。

(署)まだ2年も結論が出ないのか?!福島の街頭で署名などしていたら「子どもが心配」と多くの人が署名をしてくれる。結果が出るまで2年間も何もしないのは後手すぎる。

(環)ゆっくり進めているのではない。迅速に確実にしている。数年ではわからない。誤った考えだと風評被害につながる。

(署)今でも健康被害が出ているのに、そんなに待っている間は何もしないのか。福島県からもらったデータを分析しないのか? 周産期、死産は調査内容に入っているのか?

(環)入っている。

(署)周産期以外の死産は調査するか?

(環)調査対象に入れていない。

(署)事実として人が死んでいる。調査ばかりでなく具体的な動きを作ってほしい。あと2年も調査だけで何もしないのは人道的に問題。

(環)われわれも進捗状況を見ている。短期間で判断は難しい。29年度のあとに報告が出る。

(署)納得できない。
 
②甲状腺がん多発に関わる環境省の『中間とりまとめ』の見解の見直しについて。

(環)専門家会議の『中間とりまとめ』は、1巡目検査が終わって『多発』とは言っていない。2巡目は進行中で、その結果を待っている。

(署)世論は、やっぱり被害が出ていたと思っている。福島県の部会長も、辞任して言いたいこと を言う、と新聞に載っている。

(環)福島県に確認したら、清水氏は検討委員の辞表は出していない。放射能の影響も考慮してやっている。福島県には技術、経済的に支援をしている。環境省と福島県は別。先行検査と2巡目は違う。あくまでも2巡目をしっかり考慮すべきと認識。チェル ノブイリよりも被ばくは低い。スクリーニング効果もある。

(署)環境省は2巡目が終わって来年どうするのか?考えているのか?

(環)まだ考えていない

(署)一巡目の際には『中間とりまとめ』は先行検査と同時に行った。もっと事態を深刻に考えて、 もっと早く動けないのか。

(環)先行検査の見直しはしない。2巡目の結果が出てから評価する。

(署)それなら2巡目の結果を基に環境省専門家会議を再開して、『中間とりまとめ』の見直しをする予定はあるのか?そのための予算はつくのか?

(環)今の段階では決まっていない。

(署)再検討のやり方が決まっていないのか?それとも2巡目の結果の検討会の予定がないのか?

(環)今のところ検討会を開催する予定はない。

(署)行政が『原発事故の影響とは考えにくい』と言うから、甲状腺がんの対策が進まない。評価見直しをするべきだ。2巡目検査でがん患者が増えているのは、明らかにおかしいのだから。しかも福島県では甲状腺検査を縮小しようとする動きがある。

(署)がん患者が174人も出ている。早く何とかしろ!と声が上がっている。

(環)早急に進めてほしいというのはわかる。しかし科学的根拠をもってやっていかないと。
 
③被爆者援護法のような健康診断制度の実施について。

(署)原爆被爆者への健康診断(年2回)と医療補償の費用は年にどれくらいか知っているか?

(環)わからない。近隣県の専門家会議で『健康診断は不要』との結論が出ている。対策として、 疾病動向調査を委託研究中。

(署)近隣県の専門家会議は全てが、甲状腺がんが表面化する前の2011年度に終わり、検討内容も実にお粗末。千葉県は検討会を行なわなかった。群馬県は1回だけ1時間集まってすぐに結論を出したが、甲状腺がんの検査結果も出ていない段階でまともな検討ができるはずがない。

(環)確かにこの1,2年の検討結果ではない。

(署)原爆被爆者援護法では17万人に年2回無料診断。年間30億円、オスプレイ1機やめたら 7年分ですよ。リスクコミュニケーションも心だけでなく、体のケアをしてください。

(署)茨城県下では甲状腺検査やホールボディカウンター検査を行う市町村が増えている。自治体はやっている。その補助を出さないのか?周産期死亡が増えて影響は出てきている。がん以外も考える立場に立たないか?

(署)3年もかかっての結論は遅すぎる。千葉、茨城など改めて調査したらどうだ?予算をつけてできるのでは?

~【ここで時間切れ、交渉終了】 
 
【まとめ】 私たちは、福島県検討委員会の乳児死亡や周産期死亡率の評価方法の間違いを説明し、また近隣県での健康診断を拒否する環境省の言い分が崩れていることを指摘しました。

一方、環境省は乳児死亡の増加の事実を否定できず、具体的な事実確認から逃げ回りました。甲状腺がん多発事態について“福島県の2巡目検査後にも環境省専門家会議「中間とりまとめ」 の見直しをする予定はない、”と開き直り、彼らの委託調査結果が出る2018年3月まで何の対策もしないと強調しました。これでは早くても対策の予算化~実行は2019年4月以降になります。

今回は厚労省が出席しませんでした。厚労省に責任を求める交渉が必要です。次回は厚労働省の出席を求めて交渉に臨みます。 
 
★ 次回の請願交渉は、今年3月27日(月)を予定しています。詳細が決まり次第、ご案内します。

6月6日、放射能健診を要求する今年初めての署名提出と交渉を参議院会館で、環境省と厚労省を相手に行いました。署名15950筆を提出し、合計で152097筆になりました。署名を送っていただいた皆さん、ありがとうございました。

今回の請願交渉は、初めて厚労省が出席したことに大きな意味があります。福島みずほ参議院議員の事務所に尽力頂いたことと、今回は福島と近隣県の「死産・流産」「乳児死亡」「周産期死亡」のリスクが上昇したことを、ドイツや日本の医師らが厚生労働省のデータを基に分析した資料を示して、甲状腺がん以外の健康被害の事実を問うたことが力になったと思います。

★請願の中で、環境省は、甲状腺がんの問題も出産・乳児のリスクにも自らの判断で回答できず、そのリスク調査の要求には「上に伝える」しか言えませんでした。環境省には放射能の健康対策をする意欲も責任感もないと感じさせる交渉でした。

★環境省は、福島近隣県の病気の調査を「大阪大学の祖父江教授に請け負わせた」旨を答えました。彼は環境省「健康管理の在り方に関する専門家会議」で福島県甲状腺検査の意義を否定する先頭に立った人物。環境省HPを見ると、この調査の目的は、「リスクコミュニケーション」。放射能の健康被害の事実を認める姿勢とは思えません。

★厚労省からは専門官(医師)が出てきて、福島県立医大にはドイツの疫学者らの分析とは違うデータがあり、死産・流産と乳児のリスクは増加していない旨を主張しました。しかし私たちが示したデータの基は厚労省の人口動態調査です。厚労省の専門官もこの分析を放置できず、「関心を持って見ている」と口走りました。健康問題は厚労省が関与せざるを得ない分野です。また原爆被爆者の医療対策を執行するのも厚労省です。ここに新たな交渉窓口が開かれたことは大きな前進です。

交渉の要約は以下の通りです。

【環境省:放射線健康管理参事官室・課長補佐と係員】

1.甲状腺検査、国際環境疫学会ISEEの書簡について

(環境省) 津田教授の論文がISEEの書簡の根拠になっていることは承知している。個別論文に対してのコメントはしない。福島県民健康調査の「中間とりまとめ」は、甲状腺がんの発生は原発事故由来とは考えにくい、としている。

(署名実行委員会) 環境省や福島県民健康調査の検討委員会に、疫学の専門家はいるのか?私が見た限り、福島県民健康調査検討委員会の津金氏くらいだ。彼は福島の甲状腺がんは「多発だ」と言っている。

(環)「発見」と「発生」は違う。津金氏は全国の発生率と比較して数十倍の多発と言っている。それは否定しないが、異常多発とは言っていないはず。

(署) 環境省は「子ども全員を調査して多く発見した」と言いたいのだろうが、2巡目の「本格検査」でも全国の十数倍の多発だ。これは「先行検査」の後の2~3年で新たに発生した症例数、それが十数倍。

(環)「本格調査」のデータ評価は進行中なので、今コメントできない。

(署) 環境省の専門家会議や放射線健康管理参事官室に、疫学の専門家はいるのか?

(環) 環境省の専門家会議の中の疫学の専門家は、把握していない。当室に疫学の専門家として配属された職員はいない。

2.福島と近隣県の死産や乳児死亡について

(環) UNSCEARは、胎児への放射線の影響は考えられないとしている。県民健康調査の妊産婦の調査で、先天異常の発生は全国と比べて少ない。増えていない。

(署) ここにあるドイツの疫学者シュアブ氏の、死産や乳児死亡のデータは知っているか?

(環)私はこのデータは知らなかった。放射線の影響は判らない。UNSCEAR出生前のリスク上昇は「予測できない」としている。今、環境省事業として、全国がん登録データの調査も含めて、疾病罹患率動向調査を行う。その中で周産期死亡の調査はする。

(署) 先天異常は増えていない、との県民健康調査の評価だが、そこに死産・流産の調査は含まれるか? 

(環) 今は、判らない。(注:福島県民健康調査の『妊産婦調査』に、「流産・中絶」という項目があります。)

(署) 環境省は「死産・流産」、「乳児死亡」のリスクを調査するのか? あなた方はこのデータを見てどう思うか?

(環) その2つは調査対象に入っていない。この件については、上に伝える。

(署) いつ、どの場で検討され、結論が出るのか? またはどういう提案方法が可能か?パブリックコメントなどは求めるのか?

(環) 具体的な時期は言えない。疾病罹患動向調査はすでに始まっていて、見直しのタイミングは判らない。具体的な提案プロセスも判らない。

(署) 環境省は死産や乳児死亡について、どう思うか? 「原発が原因ではない」としか言わないが、原因不明と言っておけば何もしないで済むと思っているのか? 冷たいではないか?

3.環境省の近隣県健康調査について

(署) 「疾病罹患動向調査」は誰がするのか?いつ報告が出るのか?

(環) 年度内にまとめる予定。内容はがん、循環器疾病、周産期異常の情報など。やるのは環境省事業の公募に応募した研究者。統計を用いた大災害における研究。

(署) 代表者は誰ですか? 採用の基準は何ですか?

(環) 大阪大学の祖父江教授。選考基準は環境省のwebに掲載。

【厚生労働省:母子保健課専門官、健康局総務課課長補佐(原爆被爆者担当)ら】

1.死産・流産、乳児死亡について

(厚生労働省) 初めて見る資料で関心を持って見ているが、原発事故後に心配されていることは承知。流産率はなかなかつかめない。先天異常に追加して福島県医大で、中絶や自然流産が増えていないか全数調査をしている。その中では「急増した」という事実は見えない。(「平成26年度モニタリング解析」)

(署) 厚労省の人口動態調査とは別のデータがあると言うことだな。今日示したシュアブ氏やコルブレイン氏の分析については、どう思うか? いずれも厚労省の公式データだ。

(厚) 関心を持って見た。死産・流産のデータ分析は、流産のデータが掴みにくい。シュアブ氏のデータでは流産の動向はわからない。乳児死亡の分析では「(リスクの)急上昇」とは言えない。福島では1000人当たり1~3人の範囲にあり誤差の範囲。引き続きモニタリングしていく。

2.原爆被爆者援護対策の援用

(厚) 原爆被爆者対策は他の戦争被害とは異なる被害であり、国の責任において援護する。原発被災者の対策は環境省の担当。被曝手帳は18.4万人に交付。うち8800人が原爆症認定者として医療給付の対象。

(署) 厚労省のHPでは医療給付の条件の1つに、爆心地から3.2キロとか3.5キロという被曝地点の距離があり、これはほぼ1mSvの被曝量に相当する。「年間1mSv」ではない。さらに広範な被爆者に健康手帳を交付し、年2回の健康診断を無料で行っている。こんな健康対策が被曝量1mSv以下の人にもとられてきた。福島原発被害者の対策とは格段の差だ。
被曝後50年近く経って1mSvの被曝地域外の被爆者にも病気が出てきて、裁判で放射線起因と認定される事例が多発。環境省に何かアドバイスはないか? 

(厚) 誤解がないように説明するが・・・・(原爆症認定制度と裁判の説明をした)。

(署) それは判ったが、同じ政府内で対策がまるで違う。環境省にアドバイスはないか? 
 
ここで時間切れ。

厚労省が自らのデータの意義を薄めるために福島県立医大のデータ(県民健康調査)を持ち出したことは驚きです。そこで改めて県民健康調査「妊産婦調査」の部分を見ると、調査結果は年度毎にまとめられており、月毎の人口動態調査よりも大雑把です。これなら微妙な統計上の変動を検出せずに済みます。あるいは厚労省は福島県立医大のより詳しいデータを持っているのでしょうか? 次の交渉のテーマです。(以上)

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